複素関数論に関するメモ
ちょっと複素関数の復習をしているので、自分の備忘録用にメモを残します。 数論入門を読むのに、複素関数論の正則関数、有理型関数、留数、解析接続が前提知識になるためです。
(定義)開円板
任意の整数に対して、平面上の点の-近傍を、中心がで半径がの開円板を以下の通り定義する。 { < }
(定義)正則関数
複素関数がで正則とは、の適当な-近傍を取ると、はの任意の点で微分可能なことと定義する。 が複素平面上の集合の各点で正則なとき、はにおいて正則であるという。
(定義)-級関数
関数f(x,y)が平面上の集合V上で-級とは、任意ので上で、f(x,y)の n階までのすべての偏導関数が存在し、連続になること。
(定理)コーシー・リーマン方程式
複素関数が各点において、正則である
の適当な-近傍を取ると、は - 級、かつ任意の で
を満たす事であり、
(定理)コーシー・リーマン方程式の複素形
複素関数について
(定義)複素積分
連続な複素関数と区分的に滑らかな曲線Cに対し、のCに沿う複素積分を
で定義する。単にCに沿う積分ともいう。
(公式)コーシーの積分公式
互いに交わらない有限個の単純閉曲線で囲まれた領域に対して、上の正則関数は、複素積分
で表される。ただし、とする。
(公式)正則関数の次導関数
互いに交わらない有限個の単純閉曲線で囲まれた領域の境界上の連続関数に対して
は、上の正則関数になり、はにおいて何回でも微分可能で、次導関数も上で正則になり
と表せる。特に、上の正則関数は何回でも微分可能で、その次導関数は上記となる。
(定理)ローラン展開
中心がの閉円環領域上の正則関数は、次の形の級数展開を持ち、これを点を中心とするのローラン級数という。
また、をみたす任意の整数に対し、各係数は次式で与えられる。
(定理)留数定理
ローラン展開における係数をのにおける留数といい、と書く。がで正則であれば、となる。積分したときに最後まで留まるので留数という。
有限個の単純閉曲線で囲まれた領域の閉包上の有理型関数がその境界に極を持たなければ
が成立する。ここで領域ないにはの極は高々有限個しかないので、右辺は有限和である。