カタラン数について【日曜数学 Advent Calendar 2024 16日目】
はじめに
この記事は 日曜数学 Advent Calendar 2024 の 16日目の記事です。
お題を選んだ背景
毎年、文化の日(11月3日)に開催されている近畿大学 数学コンテストに参加しているのですが、2024年度にはカタラン数を応用すると解ける問題が出題されたので、"復習"しようと考えた次第です。
カタラン数とは
カタラン数*1の一つの定義方法として、個の文字の積の括弧の付け方の総数と定義され、
と表されます。要は、積(二項演算)の結合する順番を考える訳です。
たとえば、であれば、
の1通りなので
。
であれば、
と、
の2通りなので
となります。ここで、
を演算したあとに、
と
を計算したものが1つ目で、
を演算したあとに、
と
を計算したものが2つ目です。
であれば、
、
、
、
、
の5通りなので
となります。
このカタラン数を二項係数を用いた数式で表すと、
となります。
ここで、(一般化)二項係数は実数に対して、
であるとします。また、
はガンマ函数と呼ばれる、階乗を拡張させた函数で、自然数
に対しては
となります。
となることの証明
こいつの証明には、カタラン数が満たす漸化式と、母函数を用います。
カタラン数は、
で
という漸化式を満たします。ここで、
とします。実際、
のとき、
の2つの積(二項演算)を最後に行う場合を考えれば、前半は
通り、後半は
通りとなることから分かります。
さて、次に以下のような母函数(generating function)を用います。母函数とは、問題にしている数列(函数列)を係数にした冪級数のことです。ある数列
と
が等しいことを示すのに、母函数が等しいことを用いる証明法は、組合せ論では常套手段だそうです。
上述の漸化式を代入すると、
ここでと置き換えると、
二項係数を考えると、
なので、
となる。これを
に関する二次方程式だと見ると
となり、解の公式より
であるが、さらに
のとき
であることを用いると
である。
一般二項定理より、である。
よって、
ここで、
また、なので、
つまり、
であり、整理していくと以下のようになる。
さきほどの式に当てはめると、なので、
で、
となり証明は完了した。
カタラン数が出現する例
カタラン数は、積の結合順を表すだけでなく、いろんな場面で登場します。以下にいくつかの例を簡単に記載してみました。ぜひ、上述の漸化式が成立することを確認してみて下さい。
最短経路(Dyck経路)
最短経路問題において、スタートから上半分だけを通ってゴールに到達する経路をDyck経路といいます。スタートを、ゴールを
としたときのDyck経路の総数がカタラン数
となります。

)
三角形分割
凸角形に異なる
本の対角線を引いて、
個の三角形に分割する方法の総数がカタラン数
となります。

)
二分木
内部の頂点を個持つ二分木の総数がカタラン数
となります。

)
おわりに
今回は、カタラン数について簡単に触れてみました。母函数の考え方も面白いので、ぜひ実際に計算して遊んでみてください。
参考文献
山田裕史, "組合せ論プロムナード[増補版]", 日本評論社, 2024